違反建築物とは

話を戻してル・サンク小石川後楽園についてもう少し追求していくと、この建築物は最終的に避難階となる一階が基準に至っていないという点から、住民たちを巻き込んでの大きなトラブルに発展してしまいました。これだけでも負担が大きいですが、建物としての価値は確実に下がってしまったといえます。億ションといわれていようと、不備が確認されてしまえば結局それまでという印象は拭えません。不備のある部分さえ直してしまえばと建築主は考えているでしょうが、元々界隈の住民たちといざこざを起こしている時点で、引っ越してきた人たちの風当たりは強そうではある。

このような事例の建築物、世間一般では『違反建築物』と称することが出来る。建築基準法が定める様々な点が適合しないで建てられたものは全て該当するために、この億ションにもそのレッテルが貼られてしまいました。もっと具体的にそれらの認定がなされるとしたら、主に次のような点が挙げられます。

あくまで一例ですが、基準法に基いて建てられていないものは全てに違反建築物だと見なされて利用できなくなってしまう。本来あってはならないことですが、何もル・サンク小石川後楽園のような新築物件だけに話は留まらなかった。

増改築した建築物にも

違反建築物と見なされ、竣工寸前で建築確認取り消しにあうという顛末を見せたル・サンク小石川後楽園はかなり異例中の異例とみなします。新築の、しかも業者が行っていた工事ですからこれはもう完全に失態としか言い様がない。ただこの違反建築物という問題は実際、色々なケースで抵触してしまったという話を耳にすることがあります。例えば建築した後に増改築をしたマンション、あるいは原点たる用途とは違った使用などをしていた場合にも、法律違反として違反建築物とみなされる。

見なされてしまったら

では違反建築物だと見なされてしまったらどうなるのか、という話をしよう。そんなに重いものではないだろう、などと甘い考えは捨てておこう。実際、違反建築物と認定された建築物には厳しい行政処分が執行されてしまいます。建築物の状況によって処分は異なりますが、主な行政処分は次の通りだ。

行政処分例
従わなかった場合

仮にこれらの命令などが執行されたのに、無視していたとしよう。その場合には問答無用で強制執行、並びに建物への電気などのライフラインを一切供給停止措置といった強硬手段を講じられてしまいます。厳しい処分を受けたくない、せっかく建てたのにと悔やむ気持ちも分かりますが、逆らってまで使用し続ける方がリスクが高過ぎるのだ。

こんなケースも

ただ違反建築物ではなく、マンションの中には法律の改正などによって現状の建物については問題ないが、その後の建て替え工事などをする際には同じ規模のマンションがダメだというケースもあります。これを『既存不適格建築物』と呼ばれるもので、建築当初は問題はありませんでしたが、度重なる法律改正により抵触している部分が生じてしまったという‘意図されていない部分が法律違反’と見なされてしまったケースについてはまた対応が異なります。

違反建築物はそもそもがトンデモ物件だと烙印を押されるのに対して、既存不適格建築物に関してはやむなく違反する形になってしまったという溝の深さが見えるはずだ。建て替える際には同規模以下の建物にしなければならない、という状況に追い込まれてしまいます。このために建て替えを断念するというケースも多く、これはこれで持ち主として悲しい結末といえます。

いずれのケースでも

建築物というもの、それらがきちんと管理されているか否かでその価値は明暗を分ける。ただ違反建築物か既存不適格建築物か、そのどちらかになったとしてもそもそもが住民に責任はない。中には既存不適格建築物だと知ってか知らずか、法律違反の行動を起こして問題になったという悪質なケースも見られるほど。その場合は行政としても業者に対して頑たる態度で差し迫る。とはいえ、この2ケースを当てはめると、後者よりも前者の方がたちが悪いのは言うまでもない。

ル・サンク小石川後楽園の場合も、違反建築物だと見なされている時点で知らなかったでは済まされません。それこそ建築主と区が途中で結託したと言わんばかりに工事を推し進め、完成間近で大勢の人を巻き込んでの大騒動に発展してしまったのだ。これだけでも十分罪は大きいですし、住む予定だった住民たちが陥った絶望的な状況が見えてくるというものです。